2018.4.30[Mon]
『ひとつ咲く』

手のひらに浮かぶ
揺らめく森陰の古き渇きは
まるで鏡のように
そそのかされた衣服を
照らし出すかのようだ

ふと目をあげると
坂の上に立つ少女が
ふわりと飛んで消えた

私は意識を振るい落として
コードネームを読み上げる

分割不可能な時間を
自らの耳元で囁くのだ

豹が我が肉を喰らい
谷間の執行人の合唱へと誘う

これぞ真に新しい窒息だ
知的拡張が増大してゆく

私は少女に問いかける
できるだけ美しい詩歌で

朝露のような煌めく声で
少女は答えた
願いを秘めているの

私は問いかける
それは嗅ぎ分けられるものなのかい?

天から灰が降り始めた
死の灰だ

それらは汚染された土地で
愛の惑星を夢見ている

気づくと彼女は海岸にいた
まるで燃えさかる蜃気楼のように

鳥たちが飛んでゆく
生まれた日々のような
紫色の夕焼けの彼方に

その軌跡は
月明かりの青白き梯子

少女は梯子を登ってゆく

陰鬱な洞窟がほころびて
それは歓びに満ちた錯覚

リズムの相違の輪郭は
寝室の香しさに似て

薔薇色の総体の最中に
少女は答える

きっと救われるわ

私には真新しいことは
何も起こり得ない

巨大な戦艦が
少女を乗せてゆく

少女は
いつか戻ってくるのだろう

金色の星座のまぼろしが
ひとつ咲く

2018.4.29[Sun]
『労働』

『労働』とは
一体何ぞや

これは私の制作過程で
必ず付き纏うことである

楽をしようと試みる思惑は
必ず後からツケがまわる

エリアーデのいう
神話時間を意識せねば

今ここ(now-here)をおいて他には
どこにもない(no-where)のである

生のユーティリティ化を
当たり前にすることなかれ

今ここにある『現在』を
燃やして働く必要があるのだ

これが
この世における
不動のアプリオリ

誤魔化しは一切
通用しないのだ

2018.4.28[Sat]
『静かな熱』

己の魂の奥底には
もはや胡魔化しの利かぬものがある

所謂、己を
『敵』と捉える人間にとっては

探り当てた世界で廻り合った『純潔』を
強く信ずることを
ひたすらやめず

常に『緊張』して
観ていなければならぬ

畢竟
己の魂の様式の孤独性から
出発せざるを得ないのだ

そして其処にある
分析的な『Impression』から
どういう綜合的な『Expression』が
実現可能になるのかを見届けることを
続ける以外にない

其処に
描こうとする『静かな熱』が
あるのである

2018.4.27[Fri]
『いかなる道も』

きらきら光る
こまかな雫は

フランドルの道へ
続いてゆく

理性などというものに
妨げられること

畢竟

己が本物の狼だったとしたら
起こったこととは真逆なこと

狼であったら襲撃すべく
勇気づけられたであろうものを意識して

却って襲撃することができなくなることの
渇望と満足

いかなる道も
不気味に発光して

胆汁色の
まるでトタン板の上に落ちている
ぼろ服のよふに

うろうろ
うろつき回ることになるのだ

2018.4.26[Thu]
『持続』

空間は分割可能であるが
持続は瞬間を持ち得ない
これはアプリオリなことである

分割不可能の世界が
この世には存在するのである

これはまさしく
驚くべきことである

2018.4.25[Wed]
『旅支度』

お入りなさいな
あなたを温めてあげるから

Aura Quartz Geodesの包み紙

厳正なる眼を持って
すべてを知り尽くし
そよ風に語りかける

この世に有り得ぬ旅支度

2018.4.24[Tue]
『しき嶋の歌』

しき嶋の
やまとごゝろを人とはゞ
朝日にゝほふ山ざくら花

(本居宣長)

2018.4.23[Mon]
『自己韜晦術』

そなたは果たして
やりおおせるか

雲を掴むような
性格論

よろしい

そんなことに
一体何の意味があると言ふのだ

自己韜晦術の達人を
論ずることから
はじめよう

2018.4.22[Sun]
『飢えては輝く青い鳥』

ゴールド・ボール・ルームの日々の暮らし
飢えては輝く青い鳥

捏ね繰り返される傷つく気質は
まるで獰猛なローマ大火の最中に

陽炎のような
見目麗しい人物の全てを引き受けた
ルーペを突き抜けた白銀の粒子は

箱庭の中で
愛おしい思い出に
いつまでも耽って

胎動のような密かなノイズは
祭壇が擦り切れるまで燃えてゆく

あの景色は本当だったのだろうか
得体の知れぬ眠るような幻影

意識が壊れてゆく
失われた色彩が立ち現れ
深潭の眼差しが我が虹彩に群がり果てる

惑星たちよ
純粋気体たちよ

重い怒りの扉を開くがよい
脳天の外側に灰を撒き散らすがよい

嘲り笑う鏡に映る己の背後に
永遠の安息の氷雨は降る

飢えては輝く青い鳥は
壊れた心を呼び覚ますような畝りを保持し
暗黒の国から鳴り響くサイレンへ向かって
別離の祈りを捧げて展望台へと旅立つのだ

我を救い給え
永遠の死から

Libera me,
de morte aeterna,
Libera me,
in die illa tremenda
Tremens factus sum ego,
et timeo,
dum discussio venerit,
atque ventura ira.


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https://www.youtube.com/watch?v=RqlItqLTseQ
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2018.4.21[Sat]
『仕事』

仕事で己の限界を晴らさなければ
我が精神は全く気が滅入って終う

己は働かなければならぬ
然も激しく働かなければならぬ

仕事の内側に自己を忘却しなければ
己が己を叩き殺すことになって終うのだ

2018.4.17[Tue]
『悲しみの色』

311(東日本大震災)を想う

魂の奥底まで
冷え切っているのを
感じているが

そういう感情に
驚くということは
出来れば
一切したくないというのも
本音であることは確かなのである

そこには
驚くべき生存の手段が証明されるのを
見てとれるのである

それは畢竟
『悲しみの色』である

2018.4.9[Mon]
『持続の特殊なリズム』

内面から認識されるものであり
外側から認識されるものではない

純粋知覚は
物質的諸瞬間ではなく
意識の諸瞬間である

それが
持続の特殊なリズムである

2018.4.8[Sun]
『3つの賢者ヘルメス』

古代エジプトの神官
ヘルメス・トリスメギストスが
遺したとされる『ヘルメス文書』

「魔術」の復興。

「サンタンジェロ城」の地下牢獄に幽閉され、
異端判決のもと火刑された
ジョルダーノ・ブルーノ。

それはまさに
月面の北緯36度、東経103度に位置する。

宇宙空間の無数のエーテル。

世界が真の難局にある時、
「大天使ミカエル」は
また出現する。

2018.4.7[Sat]
『超越』

人々は
原始的な率直さと
単純さとで
錯綜した現代を
超越しようとする

然し乍ら真髄は

根本にあった視覚上の革新だけを
動かせぬ今ここにある
明白に与えられている事実として
率直に受け入れる他ないのだ

2018.4.5[Thu]
『メランコリアの丘』

絶え間なく叫び
そして吠える

暗雲低迷する大空を見据えて
それを貫かんと行動する

己の不忠実に忠実であること

メランコリアの丘に
散らばる破片を
ひとつひとつ拾い上げるのだ

2018.4.4[Wed]
『純粋気体』

消滅したと想っていた記憶が
驚くほど正確に
再び現れてくる瞬間がある

これぞ
エラン・ヴィタール(élan vital =生命の飛躍)である

純粋気体は
火刑されたのだ

2018.4.1[Sun]
『桜』

睡眠の最中に訪れる発狂は

桜咲き乱れる故郷の
セクンダディ

地下牢獄に眠る7人の天使は
24の慈悲の鐘に焼き尽くされる

この世に永続的なものも
頼ることのできる不変の拠り所も存在しない

そんな明らかで疑う余地のない事実によって
意識が貫かれたときに感じる
締めつけられたような心の痛み

ゲニウス・ロキ
甘くまろやかな夢想

愛おしき日常の中に立ち現れる
輪郭のはっきりしないシルエット



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