2012.10.17[Wed] |
『ジョルダーノ・ブルーノ』 |
来春の個展の基軸になるのは、 先のメッセージの最後に記した「ジョルダーノ・ブルーノ」である。 ジョルダーノ・ブルーノとは… (Giordano Bruno, 1548年 – 1600年2月17日)は イタリア出身の哲学者、ドミニコ会の修道士。 それまで有限と考えられていた宇宙が無限であると主張し、 コペルニクスの地動説を擁護したことで有名。 異端であるとの判決を受けても 決して自説を撤回しなかったため、火刑に処せられた。 思想の自由に殉じた殉教者とみなされることもある。 (Wikipediaより抜粋) 実はこれは私の中で突然降って湧いたものではない。 そのイマージュの連鎖は、名前こそ一切明かしていないものの、 昨年の1月6日〜2月14日のメッセージの中で展開していたものだ。 故郷を襲った震災を機に完全に封印していたテーマである。 ジョルダーノ・ブルーノから派生したイマージュは 不可思議な万華鏡世界。 ローマのサンタンジェロ城、極地のオーロラ、 無限宇宙、エーテル、アレッサンドロ・モレスキ、 月面クレーター、ヘルメス・トリスメギストス、 キリストの受難を象徴する10体の天使達、 アルベルチーヌ、プルースト、 人魚伝説セイレーン、ジャンヌ・ダルク、 ミルトンの『失楽園』やダンテの『神曲』などが 無秩序に絡んだもの。 それが、前回のメッセージ 『記憶の備忘録』に書き連ねたように、 ルーペで黒い紙を燃やして遊んだ幼少の記憶と共に 何故か再び立ち上がってきたのである。 獰猛な焦点の輝く虚空に身を委ね、叫び声も上げず、 瞬く間に爛れ、灼き尽くされ、ただただ静寂の中、 鼻腔をつく煤けた紫色の煙を吐き出し、 ミゼレーレの微笑と共に灰と化した 得体の知れぬ磔台に釘付けされた黒き紙片…は、 全くのこじつけだが、 火刑されたジョルダーノ・ブルーノそのものではなかろうか… とさえ思えてならない…。 では…刑執行人は 「幼き頃の私の記憶」とでも言うのか… そんな「甘くまろやかな夢想」…に浸ってしまう。 「甘くまろやかな夢想」… ジョルダーノ・ブルーノは、今の私の中において、 光が食い込み輪郭のはっきりしないシルエットとしてだが明らかに存在する。 そのシルエットは、とてもおぼろげだが、 愛おしき日常の中にしか存在しないのだ… ということを確信させてくれるものなのだ。 この世に永続的なものも 頼ることのできる不変の拠り所も存在しない。 そんな明らかで疑う余地のない事実によって 意識が貫かれたときに感じる 締めつけられたような心の痛み。 ゲニウス・ロキがふいに脳裏に現れては去ってゆく。 私は、そんなスルリと逃げてしまう見えないものを 心ゆくまで追いかけていたい。 私にとってのジョルダーノ・ブルーノとは… ただ、それだけのことなのだ。 |
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